「最近、なんだか気分が落ち込みやすい…」
「もしかして、年齢のせい?将来、認知症になったりしないか心配…」
そんな悩みを抱えている方、いませんか?
実は、食事があなたの心の健康、そして脳の健康に大きく関わっているかもしれません。
今回は、最新の研究論文をもとに、どういった食事がうつ症状とアルツハイマー病に良い影響を与える可能性があるのかをわかりやすく解説します。今日から実践できる食事法も具体的にお伝えするので、ぜひ最後までご覧ください。
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うつ症状とアルツハイマー病の関係

まずは、研究内容をお伝えする前に基本的な背景をお伝えしていきます。
アルツハイマー病は、認知症の最も一般的な原因であり、世界中で患者数が増加しています。
近年の研究では、うつ症状や不安症状といった心の健康状態が、アルツハイマー病のリスクを高める可能性が指摘されています。

えっ、心の健康と脳の健康って関係あるの?
そうなんや。
うつ症状は、アルツハイマー病の初期症状として現れることもあるし、認知機能の低下に対する反応として生じることもあると言われてるんやで。

うつ症状はアルツハイマー病の初期症状?
うつ症状は、アルツハイマー病のリスク要因であるだけでなく、初期症状である可能性や、初期の認知機能低下に対する反応である可能性も示唆されています。
また、不安症状も認知症のリスクを高める要因として注目されており、特に中年期に不安症状があると、そのリスクが高まると言われています。
うつ症状の管理が重要
高齢者のうつ症状は、様々な原因による認知症(アルツハイマー病や血管性認知症など)のリスクを高めることがわかっています。
つまり、うつ症状を適切に管理することが、認知症の予防や進行を遅らせるために重要です。
血液検査でわかるアルツハイマー病の兆候
アルツハイマー病の診断は問診だけでなく、血液検査によるバイオマーカーの測定も活用されます。
バイオマーカーとは、病気の有無や病状の変化、治療の効果を評価する客観的な指標で「生物学的指標」とも呼ばれます。
具体的には以下のようなバイオマーカーが用いられます。
これらのバイオマーカーを調べることで、アルツハイマー病の早期発見や、治療効果の判定、進行の予測などに役立つ可能性があります。

血液検査でわかるのは、客観的に評価できて良いですね!
そうやな。
問診やとどうしても正確に把握できん部分があるから、血液検査も合わせることでより正確に特定できるで。

食事がカギを握る?食事パターンとバイオマーカーの関係

近年の研究では、食事パターンとアルツハイマー病関連バイオマーカーとの関係が注目されています。
例えば、特定の食品(チョコレートなど)を摂取した後に、様々なアルツハイマー病関連バイオマーカーが変化することが報告されています。

バイオマーカーは病状の変化などを図る指標のことやったな?
チョコレートでそれが変わるなんて、驚きやな!
ですね!
チョコレート好きの私にはかなり朗報です!

しかし、食事とバイオマーカーの関係はまだ十分に解明されていません。
そこで、今回の研究では、食事パターンが、うつ症状・不安症状とアルツハイマー病関連バイオマーカーの関係にどのような影響を与えるのかが調べられたのです。
【研究方法】食事パターンと血液中の物質の関係を調査
今回の研究では、オーストラリアのAIBL研究に参加している、認知機能が正常な89名(平均年齢75.37歳、男性44%)を対象に調査が行われました。
調査の内容は主に以下の通り。

アルツハイマー病関連のバイオマーカーについては、さっき上で説明した4つやね。
さらに、食事調査の内容によって主に以下の3つの食事パターンに分類。
これら3つの食事パターンとうつ症状・不安症状、バイオマーカーの関係を統計的に解析し、性別や遺伝的要因(APOE ε4アレル)による違いも検討しました。
【研究結果】地中海食がうつ症状に効果的!?
今回の研究では、地中海食が、うつ症状と特定のバイオマーカーの関係に影響を与える可能性が示されました。

つまり、地中海食がうつ病の予防や改善につながるかもしれんということや!
具体的な結果を以下で解説していきます。
地中海食の影響が顕著だったヒト
研究では、主に以下の特性の人でより地中海食の影響が強かったことが報告されています。

ちなみに、APOEε4(アポリポタンパク質E4)は、アルツハイマー型認知症の発症リスクを高めるとされる遺伝子ですよね!
その通り!この結果を詳しく見ていくと、こういうことや。

男性の場合
- 地中海食をあまり食べていない男性は、うつ症状が強くなると、神経細胞の損傷を示すNfLの値も高くなってしまう。
- これは、地中海食が、うつ症状による神経細胞へのダメージを和らげる効果がある可能性を示唆している。
APOE ε4非保有者の場合
- APOE ε4遺伝子を持っていない人でも、地中海食の摂取量が少ないと、うつ症状が強くなるにつれて、NfLとAβ40の値が高くなる。
- NfLは神経細胞の損傷、Aβ40はアルツハイマー病の原因物質の一つ。
- つまり、地中海食は、APOE ε4遺伝子を持っていない人にとっても、うつ症状による脳への悪影響を軽減する可能性がある。

地中海食は健康に良いとよく聞きますが、やっぱりすごいんですね!
そうやな。
今回の研究では、特に男性とAPOE ε4を持っていない人で、地中海食がうつ症状とバイオマーカーの関係を改善する可能性が示唆された。

DASH食と西洋食は?
一方、DASH食と西洋食については、うつ症状・不安症状とバイオマーカーの関係に影響は見られませんでした。
つまり、これらの食事パターンがうつ病の予防や改善に関係してくる可能性は低いということです。

地中海食とDASH食は似ているけど、微妙な違いが結果に影響するのかもしれんな。
なぜ地中海食が良いの?メカニズムを解説

地中海食が、うつ症状とアルツハイマー病関連バイオマーカーの関係を改善するメカニズムとして、以下の点が考えられます。
抗炎症作用・抗酸化作用
地中海食に含まれる豊富な野菜、果物、全粒穀物、健康的な脂肪(特にオメガ3脂肪酸)は、炎症や酸化ストレスを軽減することがわかっています。
炎症や酸化ストレスは、神経変性や気分の落ち込みに関与しているとされているため、それらを抑制することでプラスに働くと考えられています。
栄養素の相互作用
地中海食に含まれる様々な栄養素が、神経細胞の保護や機能維持に役立つ可能性が考えられます。
栄養素は単体で使われることは少なく、様々な栄養素のバランスや組み合わせによってその効果が発揮されます。
地中海食に含まれる様々な栄養素が複雑に絡み合って、脳にとってプラスの影響が出ているのかもしれません。

地中海食は、その抗酸化作用や抗炎症作用によって、脳を守ってくれるんやな!
今日からできる地中海食の取り入れ方

今回の研究結果を踏まえ、日常生活で地中海食を実践するためのヒントをいくつかご紹介します。
ぜひ、1つでも取り入れられるものから始めてみてください。
地中海食の実践メソッド
- 魚を積極的に食べる: 週に2回以上、特にサバ、イワシ、鮭などの青魚を食べる
- 野菜や果物をたっぷり食べる: 毎食、色とりどりの野菜や果物を食べる
- オリーブオイルを使う: 調理油として、エキストラバージンオリーブオイルを使う
- 全粒穀物を選ぶ: 白米や白いパンの代わりに、玄米や全粒粉パンを選ぶ
- 豆類を食べる: 週に数回、レンズ豆、ひよこ豆、大豆などを食べる
- ナッツを食べる: 毎日、片手ひとつかみ程度のナッツ(アーモンド、クルミなど)を食べる
- 赤身肉や加工肉を控える: 鶏肉や魚を中心にし、赤身肉や加工肉は控えめにする
- 乳製品を適度に摂る: ヨーグルトやチーズなどの乳製品は、適量を心がける
- ハーブやスパイスを活用する: 塩分を控える代わりに、ハーブやスパイスで風味を豊かにする
- 適度な飲酒: 適量の赤ワインは、ポリフェノールが豊富で、心臓病予防に役立つ可能性がある(飲み過ぎには注意!)

地中海食って、意外と簡単に始められそう!
そうやろ?まずは、できることから少しずつ取り入れていくのがおすすめやで。

食事で心と脳の健康を守ろう!
今回の研究では、地中海食が、うつ症状とアルツハイマー病関連バイオマーカーの関係を改善する可能性が示されました。
特に、男性とAPOE ε4の遺伝子を持たない人において、その効果が顕著でした。
うつ病や認知症を予防・改善するためにも、ぜひ地中海食を取り入れてみるのはいかがでしょうか?

食事は毎日のことやから、少し意識するだけで、心と脳の健康に大きな差が生まれるかもしれんで!