突然ですが、みなさんは「フレキシタリアン」という言葉をご存知ですか?
「ヴィーガン」や「ベジタリアン」などは聞いたことがあったり知っていたりする方も多いと思います。
『フレキシタリアン』もこれらの食事スタイルを表す言葉の一種です。
この「フレキシタリアン」への認知はまだまだ低い日本ですが、実はヨーロッパをはじめ、爆発的にその認知と実践が広がっています。
例えば、2016年12月のイギリスの the Guardian紙 で「私たち全員がフレキシタリアンであるべきだ。」といった意見が取り上げられていました。
また、2019年1月の同紙で「フレキシタリアンは地球を救う?」といった記事が掲載されており、非常に注目が集まっています。
そこで今回は、この「フレキシタリアンとはなにか」と「フレキシタリアンが注目されている理由」について解説したいと思います。
本記事の内容
- フレキシタリアンとは
- フレキシタリアンが注目される理由4つ
タップできる目次
フレキシタリアンとは?
『フレキシタリアン (Flexitarian)』とは、英語の「Flexible (柔軟な/適応性のある)」と「Vegetarian (ベジタリアン)」を掛け合わせた言葉です。
直訳すると「フレキシタリアン = 適応性のあるベジタリアン」といった感じ。
つまり、「フレキシタリアン = 臨機応変なベジタリアン」となります。
何が臨機応変なのか?
では、なにが「臨機応変」なのかというと、時と場合によってお肉や魚を食べるという点です。

したがって、この「フレキシタリアン」は「完全なベジタリアン」ではないという認識があり、「セミ・ベジタリアン」という部類に属します。
日本では「ゆるベジタリアン」や「ゆるベジ」といった言葉で表現されていたりもします。
フレキシタリアンが注目されている理由
フレキシタリアンが注目されている理由は以下の通りです。
注目されている理由
- お肉を含む動物性食品を食べることの体への影響
- 畜産業の環境への影響
- 植物性食品を多く摂るメリット
- 無視できないお肉のメリット
それぞれ以下で解説していきます。
理由1:お肉を含む動物性食品を食べることの体への影響
まず、「フレキシタリアン」が注目されている理由の一つとして、お肉や卵などの動物由来の食べ物を摂取することによる体への影響の認知が広まっていることが挙げられます。
近年の様々な研究によると、お肉(特に牛肉や豚肉などの赤身肉)を食べることで、以下のことが起こるとされています。
お肉を食べることの影響
- 死亡リスクの上昇
- 心疾患のリスク上昇
- 糖尿病のリスクの上昇
- 発がんリスクの上昇
- 体重の増加
また、世界的なお肉の消費量の増加とこれらの病気による死亡率の増加から、お肉の消費は現代の「生活習慣病」が広まっている原因の1つともされています。
こういったことから、「フレキシタリアン」になってお肉の消費を減らすことで、お肉による病気のリスクを下げることが期待できるとして注目されています。
もう少し詳しいお肉の消費による健康へのリスクについては以下の記事に書いているので、こちらも併せてご覧ください。
日本でお肉の消費が爆増
少し余談になりますが、日本でも「食の欧米化」が進んでいると言われています。
農畜産業振興機構の統計によると、1960年から2013年までの間に日本では、豚肉と鶏肉の1人当たりの年間消費が12倍になり、牛肉の1人あたり消費は6倍と、お肉の消費が爆速的に増加しています。
そして、このお肉の消費の増加に伴い糖尿病や肥満、がんなどの生活習慣病の増加がみられており、お肉の消費リスクの認知も少しずつ広まってきています。
理由2:畜産業の環境への影響
「フレキシタリアン」が注目されている2つ目の理由は、畜産業による地球環境への膨大な影響です。
現在、地球温暖化や気候変動などの問題は広く認知されて来ています。
それらの主な原因として、「二酸化炭素などの温室効果ガスの排出」や「森林伐採などの環境破壊」が挙げられていることは皆さんもご存知かと思います。
温室効果ガスの排出
温室効果ガスを多く排出している原因としては、自動車や飛行機、工場といったようなものが浮かんでくるかもしれません。
しかし、実は食用の牛や豚などを育てる「畜産業」も二酸化炭素を含む温室効果ガスを大量に排出しています。
ちょっと古めですが、2006年のFAO(国連食糧農業機関)のレポートによると、世界の温室効果ガスの排出の18%は畜産業に起因しています。

また、家畜産業は家畜のための穀物を育てるために大量の水資源を消費したり、エサ(穀物)を育てるための農地拡大による森林伐採などの面でも、地球環境を破壊している主な原因の1つとされています。(もちろん家畜産業だけでなく、農業全体も絡んでいます。)
お肉の消費によるの地球環境への影響についても、以下の記事で詳しく書いているので、よろしければこちらもご覧ください。
これら環境問題に対する手段として
このような地球環境問題への認識が広まってはいるものの、各国の利害対立などから、地球環境の保護への有効な対策がなかなか実行されておらず、未だあまり目立った成果も出ていません。
このようなことからも、「フレキシタリアン」は、お肉などの動物由来の消費を減らすことで需要減につながり、畜産業の環境に対する負担を緩和につながる、個人でできる対策として注目を集めています。
理由3:植物性食品を多く摂るメリット
「フレキシタリアン」が注目されている3つ目の理由として、「野菜や果物」を多く食べるメリットが挙げられます。
野菜や果物を多く食べることで、主に以下の2つのメリットが得られるとされています。
野菜と果物のメリット
- 自然とカロリーの摂取が抑えられ体重の減少や維持につながる
- 心臓病やがんなどのあらゆる病気のリスクの低下
詳しい野菜や果物を多く摂取するメリットについては以下の記事をご覧ください。
お肉 > 野菜・果物に
様々な研究によって野菜や果物を食べることの健康へのメリットが証明されているものの、現代は「野菜や果物の摂取」が不足しがちになっており、反対にお肉などの動物性食品を多く摂取しています。
先ほどもお伝えしましたが、お肉の消費が増えることによって病気のリスクも上昇することを考えると、これはすごく健康に良くない習慣であることがわかると思います。
つまり、「野菜や果物のメリット↓ + お肉などのデメリット↑」のダブルパンチとなっています。
このようなことから、お肉などの動物由来の食べ物の消費を減らしつつ、野菜や果物の消費を増やす方法 として「フレキシタリアン」が注目を集めています。
理由4:お肉のメリットも無視できない
これまで、「お肉=悪」、「野菜・果物=善」といった感じで紹介してきましたが、お肉や卵などの動物由来の食品もデメリットばかりということはありません 。
実際、それら動物性食品はビタミンやミネラルを豊富に含んでおり、私たちの健康に欠かせない良い栄養源となっています。
お肉がどのような栄養素を多く含んでいるのかをまとめていますので、良ければご覧ください。
お肉と野菜の良いとこ取り
お肉や牛乳など動物性食品は、植物からは摂れない、もしくは取りづらい栄養素を豊富に含んでいます。
したがって、動物性食品を一切摂取しない「ヴィーガン」は私たちに重要な栄養素が不足しがちになってしまいます。
>> タンパク質ではない!ヴィーガンが不足しがちな栄養素とは?
したがって、「ヴィーガン」のように動物性食品を完全に断つのではなく、時と場合によって摂取することで健康へのメリットを得ると同時にデメリットを抑えることができる「フレキシタリアン」が注目されています。
フレキシタリアンってなに? 世界が注目する『フレキシタリアン』についてまとめてみた:まとめ
今回は日本ではあまり認知されていない「フレキシタリアン」についてご紹介しました。
まとめると、『フレキシタリアン』とは「臨機応変ベジタリアン」のことで、時と場合によってお肉や魚などを食べる人のことでした。
また、フレキシタリアンへの注目が集まっている背景として、以下の4つの理由を解説しました。
注目されている理由
- お肉を含む動物性食品を食べることの体への影響
- 畜産業の環境への影響
- 植物性食品を多く摂るメリット
- 無視できないお肉のメリット
このように「フレキシタリアン」への注目は、動物性食品による環境と健康への影響への懸念が主な背景ですが、個人的には環境への問題がより強調されているように感じます。
というのも、今後の世界的な人口や所得の増加により、お肉の需要が今後も急速に増加することが予測されており、学者たちの間では、現代の地球を守るためには、世界的にお肉の消費を減らすことが必須であるとされているからです(The Guardianより)。
健康は個人の問題ですが、環境に関しては個人や一国の問題ではなく、世界を巻き込んだものですので、国際的な対策が必要であり、その対策として「フレキシタリアン」が注目を集めているのです。
ということで、私も「フレキシタリアン」を自称しており、「フレキシタリアン生活」をこの1年ほど実践しております。
そして、この「フレキシタリアン」は最強の食事スタイルだと確信しております。
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