
コーラうまいわ〜
これは間違いないですが、そう思う反面多くの方が、砂糖入り飲料は体によくないとなんとなく感じておられることでしょう。
実際、つい先日(1月31日)に公開された研究論文では、砂糖入り飲料の摂取が糖尿病のリスクを上げることが示され、そのメカニズムの1つも解明されました。
そこで、今回は砂糖入り飲料の摂取がどのように糖尿病のリスクを上げるのかについて、研究報告をもとに解説していきます。
普段よくジュースを飲む方は、ぜひその影響を理解しておくことをお勧めします。
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砂糖入り飲料(SSB)とその健康リスク

砂糖入り飲料(SSB)とは、砂糖などの甘味料が添加された飲料のことです。
代表的なものとして、炭酸飲料、ジュース、スポーツドリンク、加糖コーヒー飲料、エナジードリンクなどが挙げられます。
この研究では、米国ヒスパニック/ラテン系成人のSSB平均摂取量は1日あたり0.8杯(1杯=約240ml)だったとされています。

この数字は多いんですかね?
日本でも、このくらい飲んでいる人も多そう。
せやねん。
ペットボトルの半分ぐらいの量やからな。
気付かぬうちに結構な量の砂糖を摂取することになるで。

砂糖入り飲料(SSB)の摂り過ぎがもたらす健康リスク
砂糖入り飲料(SSB)の摂り過ぎは、肥満、2型糖尿病、心臓病、脳卒中などのリスクを高めることが知られています。
特に、糖尿病に関しては、SSB摂取が重要な危険因子とされています。

これはみんなも聞いたことあるんちゃうかな?
実際に、2012年の米国では、SSB摂取に関連する糖尿病による死亡が10,043人も推定されており、これは糖尿病関連死亡の14.8%を占めています。

そんなに多くの人が...。
砂糖入り飲料って、そんなに健康に悪影響を与えるんですね。
そうやねん。
だからこそ、SSBの摂取量を減らすことが重要なんやで。

研究の概要と研究方法

今回の研究ではヒスパニック地域健康研究 (HCHS/SOL)のデータを使って、砂糖入り飲料の摂取と腸内環境の変化や糖尿病のリスクが調べられました。
ヒスパニック地域健康研究 (HCHS/SOL)とは、アメリカに住むヒスパニック系・ラティーノの人々の健康状態や病気のリスク要因を詳しく調べるために実施されている、大規模かつ長期にわたる疫学研究です。
研究方法としては、参加者に2回(初回と45日後)、過去24時間の食事内容を思い出してもらう食事調査を行い、同時に血液検査も実施してデータを取得しました。
その後、初回の調査から平均約7年後の追跡調査にて、一部の参加者から糞便サンプルを採取し、腸内細菌叢が解析され、どのように変化したかが調べられています。
驚きの研究結果!SSB摂取と腸内細菌の意外な関係

近年の研究で、砂糖入り飲料の摂取が糖尿病リスクを高める可能性が指摘されています。
今回の研究では、そのメカニズムの一つとして、腸内細菌と代謝物の変化が関与していることが明らかになりました。
具体的な結果を見ていきましょう。
砂糖入り飲料の摂取で減少する善玉菌
この研究では、SSB摂取量が多い人(1日に2本以上)ほど、短鎖脂肪酸(酪酸など)を作る善玉菌が減少することが分かりました。
具体的には、以下の7種類が減少していました。
減少した善玉菌
- Dakarella massiliensis(ダカレラ・マシリエンシス)
- Bacteroides pectinophilus(バクテロイデス・ペクチノファイラス)
- Clostridium sp. KNHs214(クロストリジウム属 KNHs214株)
- Clostridium sp. M62/1(クロストリジウム属 M62/1株)
- Eubacterium eligens(ユベクテリウム・エリゲンス)
- Lachnospiraceae bacterium TF01-11(ラクノスピリケイ科細菌 TF01-11)
- Ruminococcus callidus(ルミノコッカス・カリダス)
これらの善玉菌は、腸内環境を整え、健康維持に役立つことが知られています。

善玉菌が減っちゃうなんて...。
腸内環境が悪くなったら、体にどんな影響があるんですか?
腸内環境が悪化すると、便秘や下痢などの消化器症状だけでなく、免疫力の低下やアレルギー、さらには糖尿病などの生活習慣病のリスクも高まる可能性があるんやで。

SSB摂取で増加する腸内細菌
一方、SSB摂取量が多い人(1日に2本以上)ほど、増えた腸内細菌も報告されています。
具体的には、Anaerostipes caccae(アネロスティペス・カッカエ)と Clostridium bolteae(クロストリジウム・ボルテアエ)という2種類の細菌が増加していました。
これらの細菌は、必ずしも「悪玉菌」と断定できるわけではありませんが、糖の多い環境では過剰に増殖し、腸内環境のバランスを崩す可能性があります。

これらの細菌が増えると、具体的にどんな悪影響があるの?
アネロスティペス・カッカエは酪酸を作る、体に良い働きをする菌なんや。せやけど、糖が多いと増えすぎて、腸内環境全体のバランスが崩れてしまう可能性があるんやで。
一方、クロストリジウム・ボルテアエは、糖を利用して増える菌で、炎症などに関係している可能性が指摘されとるな。

腸内細菌の変化がもたらす影響
さらに、SSB摂取量と関連する上述した9種類の腸内細菌は、血中代謝物にも影響を与えていることがわかりました。
具体的には、56種類の代謝物が、SSB関連腸内細菌と関連していることが判明し、主に以下の3つのグループに分類されています。

代謝物って何?
代謝物とは、体内で栄養素が分解されたり、新しい物質が作られたりする過程でできる物質のことやで。

そして、これらのSSB関連代謝物は、糖尿病リスクと関連していることも明らかになりました。
具体的には、
という結果でした。
特に、グリセロリン脂質の増加は、糖尿病リスクと強く関連していたことがわかり、ここから砂糖入り飲料の摂取によって腸内細菌叢に変化が起こり、その結果糖尿病につながっている可能性が示唆されたのです。

なるほど。
でも、なんでこれらの代謝物が糖尿病リスクと関係があるの?
ええ質問や!
ざっくりいうと体内の炎症を誘発したり、インスリン抵抗性(血糖値が下がりにくくなる)に関与しているからと言われてるで。

今日からできる!砂糖入り飲料を減らすための3つのヒント

この研究結果を踏まえると、糖尿病予防のためには、SSB摂取を減らし、腸内環境を整えることが重要だと言えるでしょう。
ここでは、日々のSSB摂取量を減らすために実践できる3つのヒントをご紹介します。
水やお茶、無糖の炭酸水を積極的に飲む
普段から、水やお茶、無糖の炭酸水を積極的に飲むように心がけましょう。
外出先でも、マイボトルを持ち歩くと便利です。
甘い飲み物が欲しい時は、果物で代用する
甘い飲み物が欲しい時は、果物で代用するのも一つの方法です。
果物には、天然の甘みだけでなく、食物繊維やビタミン、ミネラルも豊富に含まれています。
成分表示をチェックする習慣をつける
飲料を購入する際は、成分表示をチェックする習慣をつけましょう。
砂糖や果糖ブドウ糖液糖などの甘味料が多く含まれている飲料は、できるだけ避けるようにしましょう。

なるほど!
普段から、水やお茶を飲むように心がけて、甘い飲み物は特別な時だけにするようにすればいいね!
そうやな!
それだけでも、かなり効果があると思うで。
他にも、食事のバランスを整えたり、適度な運動をしたりすることも、腸内環境を整えるためには大切やで。

まとめ:砂糖入り飲料は腸内環境を悪化させ糖尿病リスクを上げる
今回の研究から、砂糖入り飲料(SSB)の摂取は、腸内細菌のバランスを崩し、糖尿病リスクを高める可能性が示唆されました。
特に、特定の善玉菌の減少や、糖尿病リスクと関連する代謝物の変化が確認され、そのメカニズムについても明らかになりつつあります。

普段からたくさん砂糖入り飲料を飲んでいる方にとっては、少し辛い結果となりましたね。
ただ、病気を発症してから後悔しては遅いです。
日常生活の中で少し工夫するだけで、SSB摂取を減らし、腸内環境を整えることができます。
今日から、健康的な食生活を始めて、糖尿病の予防ができるよう心がけていきましょう。
甘い誘惑に負けずに、健康的な生活を送ろうな!

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